今敏の作中の幻と真実————『東京ゴッドファーザーズ』を例として

 2022-01-19 11:01

目         次

一 はじめに 1

二 マジックリアリズムの特徴と現状 2

三 今敏の作中のマジックリアリズムの表現 3

四 『東京ゴッドファーザーズ』中のマジックリアリズム 6

五 今敏の作中のマジックリアリズムの意味 9

六 終わりに 11

致 谢 15

今敏の作中の幻と真実

──『東京ゴッドファーザーズ』を例として

顾梦婷 20121329021

要旨:「マジックリアリズム」という風格は「マジック」の表現で「リアリズム」を言い出すことである。小論は今敏の作品中のマジックリアリズムを論証した。今敏の独特なレンズ言葉はあらゆる作品を貫く、彼の作品中のマジックリアリズムの重要な一部分とも見える。監督の取材も独特である。妄想、夢境と現実の交錯で作った奇妙な世界は観衆たちに夢中させられた。が、各々作品のマジックの表の下、人を深く考えさせられるリアリズムが隠された。その上、本論を通じて、今敏の作品中の「マジックリアリズム」をもっと深くに解読になれることを目指して論じていくことにする。

キーワード:マジックリアリズム;幻;夢;現実;真実

  

一 はじめに

ずっとマジックリアリズムの作品が好きである。この前もガルシア・マルケスとフリオ・コルタサルの小説、ユーゴズラビア監督エミール・クストリッツァや日本監督中島哲也のような監督のマジックリアリズムの映画が非常に気に入った。多分、この幻で真実を表現する技法自身に特別な感じが与えられた。

初めて今敏監督の映画を見る時、彼が作った映画の華やかな画面と深い意味が含んでいる物語にショックされた。だからこそ、小論のテーマを選ぶ時、躊躇もなくて今敏監督の映画をテーマとして論じることにした。

幻と現実の入り混じることが今敏の映画の中では沢山ある。彼の映画は面白いが、深刻だ。表の幻の裏面には、現実と真実の自分自身を直面することを強調している。皆さんが筆者の理解で今敏の作品への理解が更に深まればと思う。

二 マジックリアリズムの特徴と現状

 「マジックリアリズム、マギッシャーレアリスムス、魔術的リアリズムとは日常にあるものが日常にないものと融合した作品に対して使われる芸術表現技法で、主に小説や美術に見られる。幻想的リアリズムと呼ばれることもある。」1

その名の示すとおり、「マジックリアリズム」はマジックのものとリアリズムのものという相反した状態が同時に表現する技法である。アルゼンチン文芸評論家、作家エンリケ・アンデルソン・インベルはそう言った。「作者の本の目的はマジックを現実として表すことではなく、マジックで現実を表すことだ。不自然でも自然に離さなく雰囲気を作り出すのは作者の本意だ。」すなわち、「マジックリアリズム」中の「マジック」は手段、ある現実を表すことは作者の本音である。

現在、マジックリアリズムは文学の大きな流派になった。映画界でも少なくないマジックリアリズムの作品が出たが、主に真人映画である。その中に、代表的なのはエミール・クストリッツァ監督の『アンダーグランド』『黒猫・白猫』、ティム・バートン監督の『ビッグ・フィッシュ』、中島哲也の『下妻物語』などである。しかし、アニメ映画界では「マジックリアリズム」という言い方はまだ普及していない。それは、アニメそのものが作り話で、幻の色が濃く、「マジック」と「リアリズム」の対比があまり見えなくなるせいかもしれない。が、認めなければならないのは、アニメの創造力と可能性を特色にするのではなく、手段と条件とし、「幻」で「真実」を話す作品がある。本論で論じる今敏監督は、「幻」の手法で「真実」の物語を上手に話す人である。

三 今敏の作中のマジックリアリズムの表現

 アニメ映画界の名監督として、今敏はよく作中で観衆達にマジックリアリズムの雰囲気を作っている。それは映画の物語中にあるだけでなく、彼の映画言葉にも明らかに表現された。

1 独特な映画言葉で奇異で交錯的な時空感

今敏の独特な映画言語は彼の作品中の特色中の大きな一つである。彼は「劇中劇」と「マッチカット」という技法を妙に使って、映画の多重化を実現した。早期の作品『パーフェクトブルー』と『千年女優』中、「劇中劇」と「マッチカット」は映画の述べることには肝心な役割になった。

特に、監督は第二部の作品『千年女優』の中にはモンタージュというカッティング手法を熟練に使った。それ故、『千年女優』は「モンタージュの教科書」と呼ばれたことがある。「劇中劇」の手法も本作でよく使われた。今敏監督は主人公女優千代子が演じた映画を千代子の記憶の器にして、千代子を現実と記憶の間に行き来させた。映画は主人公の最後の未完成作を始まりとして、音の似ているところで千代子を乗せっている宇宙船の打ち上げで震動している場面から地震で震動している立花源也がいる現場に移り変わった。後の多くの現実と記憶の交錯の兆しと見える。

今敏監督は本劇で使ったカッティング手法は華やかだが、それに劇中の短劇が短くて多いだが、観衆たちに混乱な感じをさせない。それは各手法がよく運用して、逆に映画のリズムがいい感じされた。

今敏の独特な映画言語がこれらの作品も貫いており、これらの作品のマジックリアリズム風を極めている。

2 幻像、夢境と現実の交じる狂想曲

幻想と夢境は今敏の作品中のマジックの根源の一つとは言える。

『妄想代理人』中の悪魔「少年バット」は、人間が現実から逃げるような強い願望で生み出された幻想だ。今敏は幻の手を借用し、幻想を現実にし、現代人の色々な精神問題を拡大し、「現実に戻って、真実な自分を直面しよう」と人に忠告した。

最後の作品『パプリカ』には、夢が主人公になった。マジックとは元も夢の特徴の一つもいえるだが、ここで本作がマジックリアリズムの結論が出られない。『パプリカ』のマジックは、夢境が現実に入り込むことだ。

映画の68分、粉川警部は心の傷を超え、夢境で小山内を銃殺した。しかし、あの一発は夢境中の小山内を殺してだけではなく、現実世界中の小山内も殺した。さらに、あの一発は夢境と現実の限界を撃ち破れた。その狂気で、華やかな夢境は現実世界に入り混じった。夢境中の巨大な人形、きらびやかなパレードは現実の街を彩った。

これは、今敏監督が創った夢だが、現実には離れない。ジークムント・フロイトはそう言った。「どう言っても、一番基本的な関係は引退、隔絶とつながっていると思う。すなわち、何を夢にみても、夢は現実生活で原料を取り込む、現実生活をめぐる理性生活で原料を取り込む……夢は内容がどんなに奇抜でも、現実世界から離れない。夢の一番崇高な、それとも一番荒唐な構成でも必ず我々見聞きした感性世界、或は我々の冷静な思想のあるところから基本的な素材を得ることだ。すなわち、夢の構成の根源は我々が外部と内部で感じられたものだ。」2

今敏監督は、まるでこの道理により、現在の社会現実に着目して、『パプリカ』中の華やか、妄想満々それに皮肉で写実的な夢境を作り出した。仕事で重い心理的圧力を受けられたサラリーマンたちがみんな笑顔で、一緒に屋上から飛び降りた;守銭奴たちが金への憧れを歌いながらゴールド製の財神と招き猫になった;社交ネットに夢中になっている女子生徒の頭が携帯スクリーンになってしまった……この幻な夢境がただ物語の書き割りだが、今敏は鋭いに病的な社会現実を捉えた。

3 マジックの後ろの現実

今敏監督の作品中の色々マジック表現や技法を顧みて、彼の素晴らしい想像力に驚かされた。『パーフェクトブルー』が今敏の処女作だ。彼は自分のブログで『パーフェクトブルー』を作る際、生じた困ったことを書いている。厳しい状況で、今敏は自分らしい作品をできて、第2回ファンタジア映画祭アジア部門大賞と第17回ポルト国際映画祭アニメーション部門大賞が受けた。これからの作品がずっと高い質を守っていた。表現手法だけでなく、物語を語るところにも、今敏は自分の風格を守っている。

『パーフェクトブルー』についてのインタビューで、監督は、「『パーフェクトブルー』というこの映画は人間がつけているペルソナについての話です。」と言った。映画の最後、未麻が過去の自分を勝ち、成長したと監督はそう言った。過去と現実をきちんと向き合ってこそ、前に進めるということが、この映画が本当に言いたいことだろう。3

『千年女優』は本筋が明確で、一概に主人公千代子が愛している男の一生の追いかけることにまとめできる。千代子が最後でいった話はよく議論された。彼女は「だってあたし、あの人を追いかけるあたしが好きなの。」と言った。監督はインタビューで自分の考えを言い出すんだ。これは千代子の人生への否定ではなく、「自分自身のわがままや個性の上での自己認識」である。どうしても「鍵の君」に追い求められない運命が彼女の心中の結び目になったが、本当に美しいのは彼女がずっと追い求めている「鍵の君」でなく、「追い求めている」という行為そのものだ。「私が言いたいのは、人間が誠実に自分の欲望、或いは願いに向き合って、積極的に人生を直面するべきことだ。」今敏はこういった。

『妄想代理人』の最終回、少年バットが全人類の心魔から混じられた魔物になって、この世界を丸呑みにしたい。最後、鷺月子が回憶で過去自分のミスを承認して、現実中の恐ろしさと痛みに向き合いになるまで、少年バットは消えてしまった。しかし、人類の危機は消えない。災難後、人間の生活は災難の前に比べては全く変わらない。末、精神錯乱な白髪いっぱいになった警察官は誰でも理解できない計算で答えを見つけた:この物語が終わる時がない、人類社会がずっとこの悪循環に続く。これは今敏からの今の社会の反省だ、我々への忠告である。

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