東野圭吾推理小説における社会関心

目 次

一 はじめに 1

二 東野圭吾及びその創作背景 2

１　東野圭吾について

２　東野圭吾創作の生活背景

３　東野圭吾創作の時代背景

三 東野圭吾作品から見た社会関心 5

１　『新参者』における東野の社会関心

２　『ナヤミ雑貨店の奇跡』における東野の社会関心

３　『幻夜』における東野の社会関心

四　東野の社会及び人間関心の原因 19

１　松本清張の影響

２　社会派推理への転換

五　終わりに 22

致 谢 25

東野圭吾の推理小説における社会関心

林弋岚 20131322028

要旨：推理小説は文学ジャンルの一つである。近年、推理小説が低迷な状態にあるとは言いながら、東野圭吾シリーズの小説は日本国内だけではなく、中国をはじめ海外にも大人気である。東野圭吾の作品には、物語の題材にも関わらず、社会や人間性に関心を払う傾向がある

キーワード：東野圭吾；推理小説；社会関心；人間性

一　はじめに

東野圭吾の小説は近年、日本国内外を問わず、人気を呼んでいる。多くの作品は映画化やテレビドラマ化された。東野圭吾の推理小説は明確なロジック関係や、プロット、意外な結末がその特色である。東野圭吾の推理小説について、従来の研究では、主に『容疑者ｘの献身』、『白夜行』を中心に取り上げてきた。例えば、黃麗瓊の「东野圭吾小说的魅力探究--以『嫌疑人x的献身』为中心」と劉紅の「浅析东野圭吾侦探小说中的推理和人性--以『嫌疑人X的献身』、『幻夜』、『白夜行』为例」などの論文がそれである。

　東野圭吾について、中国側の代表的な先行研究としては。邱晶・楊深林の「被放逐的幸福— —論東野圭吾『白夜行』的人物形象」や張景一の「東野圭吾作品的社会性— 以『白夜行』为中心」、張萌の「論東野圭吾 『白夜行』与 『幻夜』中的“悪女” 形象」などが挙げられる。邱晶・楊両氏はその論文の中で『白夜行』を切り口として、アルルダスジ・ジュリアン グレマス¹の理論を通じて、『白夜行』の中にある「中心を焦点にする」という描写角度、推理の心当たりで物語の真実を表現する方法を分析し、読者に内心が暗い悪の花--雪穂、及び彼女を保護するために全てを犠牲にする亮司のイメージを披露した。それに対して、張景一は『白夜行』の中に現れた、①社会ホット事件で犯罪時間軸を定めること、②パソコン業の発展過程と並行したヒロインの犯罪過程を披露すること、③オイルショックやバブル経済への描写で日本の二十年の経済発展過程を披露することを述べ、さらにそこからの三つの方面から東野圭吾作品の社会性を論じた。一方、张 萌は『白夜行』と『幻夜』それぞれの主人公である雪穂と美冬という悪女イメージを主な切り口として、①悪女と権力との関係、②悪女と男性の関係、③悪女イメージの創作背景--第二次世界大戦の後日本女性の社会地位の変化、④東野圭吾の『悪女』イメージを創作する意味という四つの方面から東野圭吾作品の中の『悪女』イメージを考察した。

　また、日本側の研究には、主として、川本三郎の「東野圭吾の新作―松本清張の世界を思わせる古典的ストーリー」や竹端直樹 の「中国 東野圭吾ブーム」などがある。川本は主に東野圭吾の『祈りの幕が下りる時』を切り口として、東野圭吾の創作方法及び特徴を分析した。その分析から、東野圭吾は松本清張から影響を受けたことを明らかにした。竹端は主に三つの方面から東野圭吾の作品からもたらした中国での東野圭吾ブームを分析した。以上のように、東野圭吾の作品について、すでに多くの研究成果が上げられたが、本稿では、主に『新参者』、『幻夜』及び『ナヤミ雑貨店の奇跡』の三部作を研究対象として、東野圭吾の推理小説における社会関心を考察してみる。

二　東野圭吾及びその創作背景

１　東野圭吾について

東野圭吾は１９５８年２月４日大阪府大阪市で生まれ、日本の推理小説家として知られている。中学校に入学し、２年生になった１９７４年偶然手に取った『アルキメデスは手を汚さない』という本を読み、推理小説に初めて興味があった。同時に江戸川乱歩賞の存在を知り、さらに松本清張の著作に影響され、やがて推理小説界に最初一歩を踏み出した。１９８５年、デビュー作『放課後』で第３１回江戸川乱歩賞を受賞し、脚光を浴び始めた。１９８６年退職し、専門作家としての道を歩み始めた。

　１９９９年、著作『秘密』は第１２０回直木三十五賞候補になり、第５２回の日本推理作家協会賞を受賞した。２０００年『白夜行』が第122回直木三十五賞候補になった。２００４年、『幻夜』は第１３１回直木三十五賞候補になった。２００６年代表作『容疑者Ｘの献身』は第１３４回直木三十五賞、第６回本格ミステリ大賞、第３回本屋大賞を受賞した。２００８年『流星の絆』は第43回新風賞を受賞した。２０１２年『ナヤミ雑貨店の奇跡』は第７回中央公論文文藝賞を受賞した。

２　東野圭吾創作の生活背景

　東野圭吾は大阪で育てていて、兄弟３人の末っ子である。しかし、天才作家と異なり、東野圭吾は小学校や中学校の時に、全然小説に興味を持たなく、愛読書の少年ではなかった。

　１９７４年高校に入ってから、小説を読むようになった。『アルキメデスは手を汚さない』を読むことがきっかけに、推理小説にハマっていた。その同時に江戸川乱歩賞の存在を知った。高校卒業後、１年浪人生活を経て、東野圭吾は大阪府立大学工学部電気工学科に受かった。１９８１年に日本電装株式会社（現デンソー）に技術者として入社した。仕事の傍ら、推理小説を創作していた。第２９回江戸川乱歩賞に応募した。結果は二次予選通過であったが、最後落選になった。１９８５年『放課後』で乱歩賞に受賞し、推理小説界にデビューした。１９８６年、専門推理小説家を目指し、仕事を辞め、上京した。そこから、東野圭吾は推理小説専門作家としての道を始めた。

　東野圭吾はよく身近な親友や自身の真実生活から取材し、作品に取り入れた。例えば、東野圭吾はスチュワーデスのお姉さんや教師としてのお姉さんがある。だから、彼女達を主人公の原型として、出身地の大阪を舞台に、それぞれ『殺人現場が雲の上』、『浪花少年探偵団』を創作した。それに、大学ではアーチェリー部の主将を務めていた経験があるので、デビュー作『放課後』では高校のアーチェリー部の物語背景として使われている。自身も工学科で出身で、ガリレオシリーズの主人公の物理教授である湯川学という人物イメージを創作した。

　そういった大量な真実の人物、多彩な生活経験から取材で創作した作品は、東野圭吾の自身特別な魅力が含まれる。

３　東野圭吾創作の時代背景

１９８５年、東野圭吾は『放課後』で推理小説界に活躍するようになった。今まで２０年ぐらい以来、創作を絶えずひたすら書き続けている。

　２０年間、東野の創作における時代背景がどんどん変わりつつある。世界的な動きが加速すると共に、戦後日本経済は８０年代後半から、１９９０年代の初めてまでバブル経済によって絶頂期を迎えた。ビジネス面に、地価上げ、財テクブームと消費の加熱が出てきた。就職も売り手市場を迎えてきた。文化、社会にはメセナ活動、マスメディアが盛んでいた。消費も絶好調でいた。ところが、１９９１年からバブル崩壊が開始した。急激な信用収縮、土地や株の高値を維持してきた投機意欲が減退し、政策の錯誤が絡んでいた。バブル崩壊により、地価の激減、更にトイレペーパーの売り切れた現象もあの時代にかなり見つかったものであった。失業者だらけで、不良債権拡大やメインバンク喪失で、日本社会が大きな負担をかけられた。さらに１９９５年阪神大地震が発生し、日本第二大地域--京阪神地域には巨大な打撃を与えた。２００２年に入って、日本経済が回復しつつある。データによると、２００５年四期のＧＤＰは５.４％増になった。２００６年度、日本経済は国内市場を中心に増加の勢いを保ち、景気リサイクルに踏み込んできた。

　以上の時代の変化により、生活スタイルも様々になった。東野圭吾の作品には、時代や生活スタイルの変化とともに、主人公のキャラクターを描き出す。それに、真実な時代変化の縮図も東野圭吾の作品には探せる。例えば、『白夜行』の舞台は、１９８０年代バブル経済時代を設定するものだ。『バブル経済』という言葉にも話を及ぶ。主人公の桐原亮司が使う犯罪道具『パソコン』というも、１９８０年代からコンピューターが普及されることを映した。『幻夜』には阪神大地震を背景に設定することも時代の特徴を映した。

　大量な社会事件を作品の題材として使う東野圭吾は物語の真実性、主人公性格の形成の原因、犯罪現場の臨場感を読者に伝える。　

三　東野圭吾作品から見た社会関心

　東野圭吾は推理小説作家として、作品にはだだ事件の真実を探すために描く文字のみならず、彼の作品には社会現象、時代のホット事件や社会矛盾を披露することもある。そういう描写から、東野圭吾は大量な社会真実を真剣に考えた感想や思考、社会関心が見えた。

１　『新参者』における東野の社会関心

　『新参者』は日本橋の人形町に引っ越したばかりの独身女性、所謂『新参者』の三井峰子が殺害される事件を中心に展開する物語である。三井峰子と同じ、日本橋警視庁の『新参者』である加賀恭一郎はその事件を解きほぐす。『新参者』は社会推理派小説家としての東野圭吾の創作成熟期の作品であるため、その作品には社会性に富む描写が多い。

『新参者』は東野圭吾は２００９年に講談社により発行した推理小説である。東京に位置する日本橋の近くの人形町は、大勢の客を引き寄せ、いつも賑やかなところである。しかし、ある日、日本橋小伝馬町で一人暮らしの40代の女性が殺された。「日本橋警視庁に着任したばかりの加賀恭一郎が、事件や被害者と何らかの接点を持った店を訪れる。調査が進むほど、事件と関係がないように見える人形町の人々が実に殺人事件に極めて密接な関係があることに加賀恭一郎は気付いた。そして、当事者達の様々な思いを解きほぐしていくにつれて、事件の真実はとうとう浮かび上がってきた」²。

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