本格派と社会派の特徴を備える「Wの悲劇」

 2022-01-19 11:01

目         次

一 はじめに 1

二 『Wの悲劇』に含める本格派の特徴 2

三 『Wの悲劇』に含める社会派の特徴 6

四 終わりに 10

致 谢 15

本格派と社会派の特徴を備える『Wの悲劇』

秦英姿 20121322021

要旨:夏樹静子は女性として繊細な心理描写および男性にも負けない場面叙述で世界範囲において有名になっている日本優秀な推理小説家である。『Wの悲劇』は夏樹静子がエラリークイーンの「Xの悲劇」「Yの悲劇」「Zの悲劇」に対する創作したオマージュのひとつである。このほか、『Wの悲劇』は他の学者に社会派作家の本格物だと定義されている。しかし、『Wの悲劇』には、トリックだけではなく、当時日本社会の問題をも如実に映っている。それで、私は『Wの悲劇』と他の社会物並びに本格物の創作特色を比較し、また作品に含めるトリックと隠された社会問題を分析することによって、『Wの悲劇』が本格派や社会派推理小説の特徴を備える作品だと証明したいと思う。

キーワード:トリック;家父長制;バブル景気;女性の悲劇

一 はじめに

 小論のテーマを探したとき、偶然に、私は夏樹静子並びに彼女の「悲劇シリーズ」を知り、とりわけ『Wの悲劇』のストーリや創作方式に引き寄せられた。それで、『Wの悲劇』をめぐって、小論を書きたい。この作品は暴風雪山荘モードを挑戦し、社会派作家の本格派推理小説だと評価される。しかし、他の本格物や社会物と比べると、複雑で緻密なトリックを除いて、社会の真実を映すことも『Wの悲劇』の特色だという結論を得た。そのために、小論を通じて、『Wの悲劇』は本格物や社会物の特徴を同時に備える推理作品だと証明したいと思う。

 中国の評論界においては、近年から中国人に知られる夏樹静子はおろか、ミステリ小説のクイーンだと全世界に認められるアガサ・クリスティの作品についても、文献資料は少ない。それで、私の知る限りでは、国内における夏樹静子並びに彼女の作品に対する研究書類がまだ存在しないということである。中国のCNKIには、夏樹静子にかかわる捜索項目は136で、中では夏樹静子やその作品をテーマにする論文は合計23件がある。これらの論文は夏樹静子の作品の女性地位、日本社会現状および男性に負けないトリック描写を中心に書くものである。例えば、劉春英の「日本当代女作家隔岸観」に、発展プロセスやその結果が理解にくい事件は緻密なロジック推理をへて、ようやく事実を明らかにさせることは作品自身のアピールを急激に増加することができる。夏樹静子は女性心理の描写に優れている。彼女の作品は鮮明的な時代特色や時代息吹を表わしている。と、ある。

 日本の評論界では、夏樹静子に対する賛辞はたくさんがある。日本推理作家協会賞等のような表彰を通じて彼女の日本推理小説分野への貢献を認める。夏樹静子は普通の生活の実情を了解し、日本社会の現状に注目する。一方、彼女の作品は繊細で、男性を中心にする推理小説界でのユニークな存在である。それがゆえに、夏樹静子は日本評論界のすごい好評を博することができる。残念ながら、『Wの悲劇』に関する直接の資料は見つからなかった。

 要するに、現在中日両国とも夏樹静子およびその作品の特色に関する資料はまだ少ない。が、小論は両国の既成の成果のもとで展開する。

二 『Wの悲劇』に含める本格派の特徴

 

 本格派推理というのはトリック設計や高難易度のプロットを強調し、論理的で、謎を解明するのを第一とするミステリ小説流派の一種である。本格物は「推理の十戒」といわれる要求を厳格に応えて、欧米伝統の推理モードに継いでいる。『Wの悲劇』は「推理の十戒」を厳守することや謎を解明することを第一にすることなど本格物の特徴を含めると思う。以下では、私は「推理の十戒」、「トリック」をキーワードとして、『Wの悲劇』にある本格物の特徴を挙げることによって、この作品が本格物だと証明する。

  1. 推理の十戒

 「推理の十戒」は本格物の特徴のひとつである。『Wの悲劇』もこの規則を守ると思う。

「推理の十戒」はイギリスの推理作家ロナルド・A・ノックスが「1928年度傑出探偵小説集」に載せられ、本格物の公平性を証明する。この内容は以下の10点がまとめられる。1、容疑者が事件の初頭で登場する。2、自然力ではなく方法を利用すべからざる。3、秘密の道が存在すべからざる。4、未知の毒物、また複雑な科学的解釈が必要だと思われる機械を利用すべからざる。5、中国人が登場すべからざる。6、偶然性で事件を明らかにさせることが禁止。7、探偵を殺人者と設置することが禁止。8、読者に伝えない情報で事件を解決することが禁止。9、アシスタントの事件に対する判断が読者に知らせなければならない。10、ツイン、1人が2人のキャラクターを担当する場合、事前に読者に伝えなくてはいけない。

  1. 容疑者は事件の初頭に登場すること

 和辻家の家族集まりには、和辻薬品会長を務める和辻与兵衛が殺されたことが知られたすぐ、「犯人」和辻摩子(和辻与兵衛の姪の女)は自分の殺人事実を認めた―「あたし、おじいさまを刺し殺してしまった......」しかし、警察の調査によると、各家族メンバーの犯行の疑いも確かめる。小説の最後まで、摩子の継父―道彦が本当の殺人者だという事実がわかる。

 また、この事件に関するいかなる容疑者や犯人が、すでに小説の第一章「湖畔の人々」に登場し、「推理の十戒」の要求に相応する。

 

2 未知の毒物、また複雑な科学的解釈が必要だと思われる機械を利用すべからざること

  1. 1 本当の殺人過程

淑枝は驚くほど静かな足どりで道彦に近寄った。

「あなたはいったわ。ぼくの研究テーマについて会長と議論しているうち、急に会長が逆上されて、果物ナイフをふるってぼくに襲いかかった。それを防いだ拍子に、会長の胸にナイフが刺さってしまった。そしてあなたの頼みどおり、摩子には私の過ちだといい含めて、私の見替わりになってくれるように説得しましたわ。」

 小説の最後には、作家が和辻淑枝によって、犯人道彦の殺人過程やいかにどう道彦を庇うかを詳しく説明した。この事件は道彦が自分の利益で殺人してから、妻と娘の愛を利用して罪を転嫁しようと計画したが、結局、妻に殺された悲劇である。 

2.2 偽装された外部犯行現場

  

 和辻与兵衛は摩子を乱暴しようと思ったところ、逆に摩子に殺された。与兵衛の死体が発見されてから、すべての人(摩子、淑枝、道彦を除く)がこう思った。それから、みんなが愛している摩子を庇うだけではなく、各自や和辻家族の名誉を保護するために、外部犯行の現場を偽装した。そして、偽事件の過程を議論した―和辻与兵衛が夕食を食べた後、風呂を入ったなか、摩子が参考書を取りに東京へ帰った。残した人はカードをしながら外食を食べた。だから、与兵衛のルームの音を気づかなかった。死体を発見したが、電話線が切断されたから、遅くまで警察を呼んだ。しかも、みなが往復の足跡を作って、胃チューブで与兵衛の実の死亡時刻を遅らせた。

 以上の二点から見ると、殺人事件には各種の人為的道具および医者の専門的知識のほか、いかなる複雑な機械や毒物はないとわかった。そこで、「推理の十戒」に相応しい。

以上の2点を除き、『Wの悲劇』は「推理の十戒」のトンネルが存在すべからざる、中国人が登場すべからざる、偶然性で事件を解決すべからざるなどの要求に一致する。そこで、『Wの悲劇』はルールを守る推理小説だと証明することが出来る。

(二)設置したトリック

 トリック描写や慎重な推理プロセスは本格物の特徴である。『Wの悲劇』には大量のトリックが設置され、本格推理小説の特徴に相応すると思う。『Wの悲劇』の一部の内容を選び、本作品の本格性を論証する。

1 暴風雨山荘モード

 暴風雨山荘モードはよく推理作品またテレビ番組に使われる。様々な原因で、互いに見知らぬ、知り合う人々はある建物(あるいは孤島)に集まり、一段と外部の環境から離れて、一切の連絡方法を切断し、この間殺人事件が発生する。こんな環境において、探偵が限度的な捜査、推理をし、事件を判明する。暴風雨山荘モードはこういうものである。

 20世紀50年代、山中山荘で、和辻家族(今度教師一条春生も誘われた)は1年1度の集まりを行った。当時の主な媒介とみられる電話も電話線が切られることで外部との連絡がなくなった。しかも、山荘外の大雪もみんなの進出を阻止した。だから、殺人事件に関する全ての人は外界と完全に隔離された。そこで、『Wの悲劇』は暴風雨山荘モードの特徴と一致する。

2 殺人事件に関するトリック

2.1 アリバイ証明

 かわいそうな摩子と和辻集団の名誉を守るために、和辻家族は協力して外部犯行の殺人事件を偽装した。医学的知識で被害者の死亡時刻を夜9時ごろから夜12時ぐらいに遅らせる。また、和辻摩子のアリバイを作るために、彼女を11時東京へ帰らせた。以上の準備で、みんなは和辻摩子に完璧なアリバイ証明を作ってあげ、最初的に警察をミスリードする。『Wの悲劇』のアリバイ描写は事件の発展を有力的に推進する。

  1. 2 時刻表トリック

 「時刻表」というのは、交通機関の転換によって、犯人が犯行不可能なところにたどりつくことができ、アリバイ証明のひとつに属するものである。

 夜9時10分、摩子は殺人事件を認めた。しかし、みんなが作った偽犯行事件には、摩子が夜11時ぐらいタクシーで東京へ帰ったが、被害者与兵衛が11時半まで殺されていなかったということがタクシー運転手を含めてすべての人が目撃した。しかも、最初には成功的に摩子の疑いを解消した。

 交通機関で犯行が不可能だと証明した。こういう点から見ると、『Wの悲劇』は簡単な時刻表トリックによって事件を推し進める。 

 「一」、「二」点の分析によると、『Wの悲劇』は本格推理作品だと考える。以上の内容には、『Wの悲劇』の具体的なストーリを江戸川乱歩の「類別トリック集成」に載せたトリックへの分類、「推理十戒」と比較し、『Wの悲劇』には、多重のトリック描写が設置されるほかには、本格推理小説の規則に厳守することと証明する。そこで、『Wの悲劇』は本格物だと思う。

三 『Wの悲劇』に含める社会派の特徴

 社会派推理小説は推理小説の大切な流派のひとつである。松本清張の推理小説は本格派と変格派の固定的なモデルを超えてロジックと推理を利用して犯罪の社会的な原因を探求する。松本清張は社会的な矛盾と問題を掲示して人物の犯罪の動機を深く分析した。だから松本清張の推理小説は趣味性にとどまらず、現実主義の社会派推理小説を形成した。「文学はすなわち暴露である」という文句は松本清張の創作理念であった。」私は『Wの悲劇』にも社会物のようなトリックの設置、事件の解決過程および社会現象、ヒット問題を緊密に結び合って、社会問題を指摘する特徴があると思う。だから、私は『Wの悲劇』の創作背景や創作の目的からこの本の社会派推理小説の特徴を表明したいと思う。

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