《异类婚姻谭》象征意象解读

 2022-08-28 11:08

论文总字数:9087字

摘 要

作为芥川奖获奖作品,《异类婚姻谭》被认为是近年难得的优秀纯文学作品。随着女性作家的流行,芥川奖获奖者中的女性作家人数也在逐年增加。与众多女性作家相同,本谷有希子也以婚姻作为自己小说的主题。从这点看来,第二次世界大战后,纯文学与大众文学的区别已日趋消失。然而,与其他作家不同的是,本谷有希子的写作视野不仅没有局限于人类婚姻,还将目光放在异类婚姻之上。

作为本文的研究对象,《异类婚姻谭》通过描写两人小家庭的日常生活,表现了人类的“同化”与“异化”。小说中本谷有希子运用了多种象征手法,从侧面突出了主题。所谓象征,是指通过某物的具体形象表现某种抽象的概念。在本文中,笔者主要选择石头、蛇球、猫、山芍药四种意象进行解读。笔者认为通过对这四种意象的解读,应该可以进一步深化读者对《异类婚姻谭》文本的理解。

关键词:本谷有希子 异类婚姻谭 象征意象 芥川奖 同化 异化

要 旨

「異類婚姻譚」は芥川賞受賞作の一つで近年現れた非常に優秀な純文学作品である。女流作家の流行につれて、芥川賞受賞者の中で、女性の人数が上昇している。多くの女流作家と同じ、本谷由希子が婚姻を中心にして小説を展開した。この点からみると、戦後、純文学と大衆文学の限界がはっきりしない。しかし、ほかの作家と比べると、本谷由希子の視野は人間の婚姻にこだわらず、異類婚姻の視野も含めるのである。

本稿の研究対象となる「異類婚姻譚」は二人家族の生活を描くことを通じて、人間の「異変」と「同化」を主題とした。小説の中で、本谷由希子が数多くの象徴手法を運用し、側面に主題を際立たせた。象徴とは、抽象的な概念を、より具体的な事物や形によって表現すること、また、その表現に用いられたものである。本稿で、筆者は主に石、蛇ボール、猫、山芍薬という四つの記号を選択し、それを解読することにした。この四つの記号への研究を通して、「異類婚姻譚」へのより深い理解を求めたつもりである。

キーワード:本谷有希子 異類婚姻譚 象徴記号 芥川賞 同化 異変

目 次

はじめに 1

第一章 本稿における象徴記号の定義 2

第二章 「異類婚姻譚」における象徴記号の分析 2

2.1 「石」―人間の異変 3

2.2 「蛇ボール」―自意識の喪失 3

2.3 「猫」―「異類」の悲劇 4

2.4 「山芍薬」―避けられない「同化」 5

第三章 象徴記号の作用 5

おわりに 6

参考文献 7

付録 7

謝辞 7

はじめに

本谷有希子については、あまり知っている人が多くないようである。石川県出身の本谷は劇作家・小説家で、また演出家、声優でもある。2016年、小説『異類婚姻譚』で第154回芥川龍之介賞を受賞した。代表作には『自分を好きになる方法』などがある。本谷有希子の小説には、人間という概念をめぐって強烈なアンビヴァレンスが働いている(中条,2016)[[1]]と言われる。

「異類婚姻譚」は主に二人家族の生活を描いた。妻のサンちゃんは超美人ともったいなくも離婚したパッとしない男と結婚して専業主婦で暮らす容姿の普通の女性であった。ある日サンちゃんは夫婦二人の顔が似てきたことに驚く。旦那の目鼻が時々崩れることにも気づいた。この頃から旦那は人間ではないのではないかと思い始めた。それから、始めは携帯ゲームに興じていた旦那は揚げ物調理に夢中になった。旦那は体調不良を理由に頻繁に会社を早退して、家で家事をするようになったのである。旦那はいよいよサンちゃんのようになってきたのである。それに耐えられず、サンちゃんは旦那に「好きな形になりなさいっ」(本谷,2016,108)[[2]]と言った。そう言われたとたん、旦那は、山芍薬に変じてしまう。サンちゃんは猫のサンショを捨てに行った群馬の山奥に、その山芍薬を植え、時々会いに行くようになった。そして、明くる年にはサンちゃんはその山芍薬が隣の竜胆とよく似ていることに気が付いた。

本稿は作品中に現れる石、蛇ボール、猫、山芍薬という四つの記号を解読し、その小説の構造やテーマに対しての役割を考えていく。この四つの記号の分析にあたって、まず、本稿で使う象徴記号という用語に対する定義を明らかにするつもりである。次に、この四つの記号の深層的な意味は何かを探究する。最後に、小説をの読解の上に、この四つの記号は小説構造にどんな役割を果たしているかと研究してみる。テーマや主題などに、象徴記号の役割を中心に展開していくつもりだ。

中国では、「異類婚姻譚」を研究対象にした研究論文は管見では陳婷婷氏の《现代“说话”的吊诡之美——评2016年芥川奖获奖作品lt;异类婚姻谭gt;》しか見つかっていない。陳は主に体裁、すなわち「現代説話」という視点から「異類婚姻譚」を分析した。哲学の理論を小説の解読に適用し、日本社会の弊害にも言及した。また小説の主題が「同化」と「異変」であると考えているが、「哲学」だけで小説を分析することがやや不足ぎみと考えて、文学理論に基づいて「異類婚姻譚」を進んで解読するつもりだ。

これまでの「異類婚姻譚」における文学の研究を見ると、象徴記号に対する研究が少なかったようである。その上、東洋文学における象徴記号の解読に関連する議論はほとんど見られない。そのため、本稿では「異類婚姻譚」における象徴記号の解読について検討してみる。

第一章 本稿における象徴記号の定義

大辞泉によると、象徴とは抽象的な思想・観念・事物などを、具体的な事物によって理解しやすい形で表すこと、また、その表現に用いられたものである(大辞泉,1995,226178)[[3]]。 特に、芸術において、直接的に表しにくい観念や内容を想像力を媒介にして暗示的に表現する手法を言う。日本語に「象徴」という言葉が持ち込まれたのは中江兆民による。彼はEugène Véronの名作を『維氏美学』の名で翻訳するに際して、symboleを「象徴」と翻訳した。『維氏美学』に「物形に象りて以て徴と為し」などの記述が見られることから中江兆民が「象徴」という言葉の意味として考えていたものが「象って徴とする」のようなものであることが窺える。つまり、「象徴」という言葉は「図や像、具体的な事物によって心象を表現するものを意味している。

そして、19世紀末から20世紀初頭にかけて、象徴主義はヨーロッパ諸国から起こった。その影響で、東洋文学でも象徴の手法を使う小説が多くなった。例えば、川端康成の小説で象徴を運用する場合が多かった(李鵬飛,2012,72)[[4]]という。「異類婚姻譚」でいくつかの象徴手法を運用する。例えば、猫は「異類」の悲劇を象徴している、「石」は人間の異変を象徴している、「蛇ボール」は自意識の喪失を象徴している。

言語学でいう記号は言語記号を言う。言語記号とは言語を構成する記号である。ソシュールは言語記号を二つの側面から捉えた。社会的に決められた音と意味との二面からなる。先に述べた「記号」の二側面を記号表現と記号内容で表すことに対応させると「象徴」については象徴表現と象徴内容という二側面で表現させる。ただし、この二面の関係は、本質的に恣意的であること、時間の流れの中ではじめて実現することなど、言語以外の記号とは異なる特質をもっている(高橋,2012,1)[[5]]。

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