稲盛和夫の経営哲学と京セラの「アメーバ」経営

 2022-01-19 11:01

目         次

一 はじめに 1

二 稲盛和夫の経営理念 2

三 アメーバ経営の概要 4

四 アメーバ経営の特徴 4

五 アメーバ経営の適用条件 6

六 中国における適用苦境 7

七 おわりに 8

中文摘要 10

致 谢 11

稲盛和夫の経営哲学と京セラの「アメーバ」経営

袁玖珑 20141322036

要旨:企業の運営には、哲学と完璧なマネジメントモデルが必要なものである。近代の日本経済の飛躍的な成長に伴い、日本的な経営哲学とマネジメントモデルが徐々に注目された。「日本の経営の神様」として、稲盛和夫の成功は様々な要因がある。その中で、代表的なものとして稲盛哲学と京セラのアメーバ経営は挙げられるであろう。それで、「心」の経営、「利他」の経営、そして「共生と循環」は、稲盛和夫の経営理念の3つの最も重要な概念である。本稿は、その内容とアメーバ経営の基本的な特徴を具体的に考察し、適用条件を分析するものである。

キーワード:企業経営;経営哲学;心をベースする;アメーバ経営

一 はじめに

1960年代、日本は人口の増加と科学技術の発展に伴い、飛躍的に経済規模が拡大した。1968年、日本はドイツを超えて、世界第二の経済大国になった。日本のこの時期の経済規模の拡大と経済発展のスピードは、いまも研究者の研究対象となっている。

その要因は多く考えられるが、文化的な観点から見ると、東洋文化と西洋文化を統合して形成された新しいビジネス哲学が、日本経済の飛躍的な成長の重要な理由の1つであると考えられる。

その中で、代表的な経営者の一人として稲盛和夫が挙げられるでしょう。本田宗一郎、松下幸之助、盛田昭夫といった日本の実業家に比べれば、稲盛経営理念の顕著な特徴は、独自の経営哲学を掲げたことである。稲盛の経営哲学は、既存の宗教あるいは思想流派の派生ではなく、彼の哲学的思考全体がユニークな特色をもっているのである。稲盛和夫は企業経営が自分の哲学を高めることだと考えている。そして、彼の経営哲学はビジネス実践と見事に一致している。稲盛哲学の指導の下に確立されたアメーバ経営は、企業の実践において良い結果に達成した。彼が設立した京セラ株式会社とKDDI株式会社は、激しい市場競争の中でフォーチュン・グローバル500のリストに入った。 近年、彼は破産に瀕していた日本航空を危機から脱却させ、短期間で記録的な高収益を収めた。 このような巨大な成功により、稲盛和夫の経営理念とアメーバ経営を学ぶ人々の数がますます増えている。 近年、稲盛和夫の経営理念やアメーバ経営は、中国企業の間で広く普及し、徐々に気風になっている。 しかし、現時点では、稲盛和夫の成功要因と中国企業の現状を冷静に分析する必要がある。稲盛和夫の経営理念やアメーバ経営の真の意味を理解せずに 安易に導入されると、むしろ大きな代価を支払うことになりかねない。

企業の運営には、哲学と完璧なマネジメントモデルが必要なものである。 この段階で、中国企業は、マクロ環境の緊密な競争が激しく、操業コストが高騰している現状において、稲盛和夫の経営哲学とアメーバ経営の特徴や経験を真剣に研究する必要がある。そこで、本稿では、稲盛哲学とアメーバ経営について調べたうえで、その基本的な特徴を分析し、アメーバ経営の適用条件を明らかにすることを目的とする。さらに、本稿の論じたものが進展しつつある中国企業の経営、発展にほんの少しでも参考になることを期待している。

近年、稲盛和夫の経営理念に関する学術論文や著書などが相次いで出版されている。これまでの研究では、経済、経営、倫理、などの角度から、稲盛和夫の経営哲学の体系とアメーバ経営の企業実践を論じている。

たとえば、曹岫云は『稲盛和夫の成功の方程式』において、稲盛和夫の提唱する「人生成功の方程式」から、稲盛哲学を体系的に分析している。この著述は稲盛哲学の研究分野において、重要な参考文献と考えられる。また、『日本学刊』というような刊行物にも多くの研究成果が掲載されている。代表例としては、刘荣の「平成経営之圣―稲盛和夫」1、李阁楠の「稲盛和夫的共生循環思想与官僚批判」2などがある。

一方、経営コンサルタントの皆木和義は『松下幸之助と稲盛和夫』において、松下と稲盛の経営哲学を多角的に比較した。三矢裕、谷武幸、加護野忠男は『アメーバ経営が会社を変える』において、企業の観点から、京セラ株式会社の「アメーバ経営」の研究を行っている。

二 稲盛和夫の経営理念

(一)「心」の経営

稲盛和夫はこれまで「心」をベースとして経営を行ってきたと述べている。稲盛によれば、「人を成功に導くものは、「愛と誠と調和という言葉で表される心」である。「愛」とは他人の喜びを自分の喜びとする心であり、「誠」とは世のため人のためになることを思う心、そして、「調和」とは自分だけでなくまわりの人々みんなが常に幸せに生きることを願う心である」3という。経営者が「愛」と「誠」と「調和」という心を持てば、人と精神的な付き合いができ、人の心に強く訴えることができる。それから、人々との信頼関係を確立することができる。つまり、経営の成功は人間の自己価値を尊重することから生まれる。稲盛は人生においても仕事においても、最適な結果を生み出すためには、ものの考え方、心のあり方が決定的な役割を果たすと述べている。したがって、人生において最も重要なのは心を高め、魂を錬磨することにある。人間性を高め、精神を修養することによって、美しい心は、さまざまな障害に立ち向かい、社会を良くしていく。ゆえに、「利己」的な思いを抑え、「利他」の心を持って人間と真っ向から付き合うことを説く。

(二)「利他」の経営

稲盛和夫は人間の心を「利己」の心と「利他」の心に分ける。「利己」の心とは、自分の利益のために尽くすことである。「利他」の心とは、他人のため、世のために尽くすことである。「利己」の心は無意識にある本能的なものだが、「利他」の心は利己的な思いを抑え、美しい心に戻し、心の欲望を取り除いた結果として現れる。よって、心と人間性を不断に高め、絶えず自己反省することによって、「利己」的な思いを抑えることができる。

「利他は自利と相対的なものである」と稲盛和夫は考える。彼はこれについて次のように述べている。「事業は自利・利他という関係でなければいけません。自利とは自分の利益、利他とは他人の利益です。つまり、自利と利他とは、自分が利益を得たいと思ってとる行動や行為は、同時に他人、相手側の利益にもつながっていなければならないということである。自分が儲かれば相手も儲かる、それが真の商いなのです」。「利他」の心による経営理念は手段でもあり、そして目的でもある。目的はその普遍性に共鳴がなければならない。「自利」的な動機ではなく、「利他」の心をもってこそ、その目的には普遍性が付与される。「利他」の考え方だけが、結果的に長期的な「自利」をも達成することができるのである。

以上のように、自己の利益を追求する以前に、「利他」の考えをもつことこそが必要である。日本の多くの成功した起業家の経営手法を見ると、思想的に明確な「利他」の経営理念ではなくとも、企業の利益観が常に社会的責任と密接に結びついている傾向にある。 

(三)共生と循環の思想

1960年代、日本の急速な経済成長に伴い、産業活動から排出される有害物質による疾病の数が増加した。環境汚染と公害問題が社会的に大問題となった。四大公害病によって引き起こされた環境問題は、日本政府に深刻な影響を与えた。こうした環境問題に対して、稲盛和夫は「共生と循環思想」を掲げた。共生と循環思想は“「自然の恵みを様々な生物が共有しながら、共存していくという生態系をベースとする共存共栄の思想」”ということである。このことから、共生と循環の思想は、一般的な生態環境の立場(環境負荷の低減)に立った考え方にとどまらず、人間社会の内部循環の調和に基づく考え方(思想としての循環型社会の形成)であることと言えよう。

稲盛和夫は、経営者が社会的利益を考えずに目先の利益にばかり気を取られてはいけないと強調する。 経営者が利益を得ると同時に、世のために尽くさなければならない。 このことから、共生と循環の思想は、「利他」の心による経営理念と密接に関係している。 「利他」の心は経営者が欲望を節制することで、利益だけをむさぼる考え方を抑えることができ、その上、社会の共生と循環を実現する方法論でもある。

三 アメーバ経営の概要

アメーバ経営はアメーバ経営管理手法としても知られている。稲盛和夫はアメーバ経営を次のように定義している。

「アメーバ経営では、組織をアメーバと呼ぶ小集団に分けます。各アメーバのリーダーは、それぞれが中心となって自らのアメーバの計画を立て、メンバー全員が知恵を絞り、努力することで、アメーバの目標を達成していきます。そうすることで、現場の社員ひとりひとりが主役となり、自主的に経営に参加する「全員参加経営」を実現しています。」

第二次世界大戦後、日本経済は徐々に回復し、発展の段階に入った。 京セラは外部環境の優位性により、迅速に発展した。 企業の成長に伴い、稲盛和夫氏は会社を経営の力不足を徐々に認識した。 そこで、彼はどのように各従業員を企業経営に取り入れ、どのように企業の各部門を高効率的に管理するかを考え始めた。 この機会に、稲盛和夫は会社を複数の小グループに分け、小グループを編成しようとし始めた。 これらの小グループはアメーバの最初の形態である。

四 アメーバ経営の特徴

(一)稲盛哲学の徹底的実行

京セラの設立初期、日本の労働者と資本家は互いに対立する傾向が深刻な状況になった。労働者と管理者は自らの権利を強調し、相手の苦痛を理解することができない。自らの利益を追求し続けるだけで、同情と思いやりの欠如は労使関係を悪化させた。どのようにして雇用者と従業員の間の矛盾を解決し、双方が同じ立場に立ってお互いに協力し合い、相互利益を達成するのを助けることができるか。この考えから、稲盛和夫は京セラの経営理念に彼の哲学を入れた。経営者と従業員を一致させるために、稲盛和夫は京セラ全員が納得して認める経営理念――「全従業員の物心両面の幸福を追求すると同時に、人類、社会の進歩発展に貢献すること」を提唱した。その結果、従業員と経営者は同じ目標を達成するために全力を尽くして努力している。明確な信念は、従業員の熱意を動員するための最大の駆動力であるが、また、アメーバ経営の実現のために最も重要な前提条件である。

「心」をベースとして経営、「利他」の心によるの経営、共生と循環の思想は、稲盛和夫経営理念の三つの最も重要な概念を、さきに「稲盛和夫の経営理念」というテーマのもとに述べた。各アメーバのメンバーが自分自身と彼自身のアメーバだけを考慮し、他の人と企業全体のために「利他の心」を欠いている場合、アメーバの業務は難しくなる。 言い換えれば、アメーバ経営の実践においては、自己利益と利他主義を調整し、部門の利益と全体の利益を調整する必要がある。 「人間として何が正しいか」という高いレベルの哲学を必要としている。

剩余内容已隐藏,请支付后下载全文,论文总字数:10931字

您需要先支付 80元 才能查看全部内容!立即支付

该课题毕业论文、开题报告、外文翻译、程序设计、图纸设计等资料可联系客服协助查找;