日本大学生の古着意識についての考察 ―衣料品リサイクルに関する意識調査に基づいて―

 2022-01-19 11:01

目次

一 はじめに 1

二 調査方法及び内容 3

三 調査の結果および考察 4

四 おわりに 10

注 11

参考文献 12

付録 調査に用いたアンケート用紙 13

中文摘要 17

致 谢 18

日本大学生の古着意識についての考察

―衣料品リサイクルに関する意識調査に基づいて―

范昊楠  20141322030

要旨:ごみ問題や資源の枯渇などがますます深刻になる現状で、多くの分野では3R1活動が行われており、衣料品の分野においてもリサイクル活動が行われている。そこで、本論では、古着に着目して今の日本の大学生を対象として古着の入手実態や衣料品リサイクルに関する行動について調査、考察を行った。調査は、京都学園大学に在学中の男女を対象として実施し、アンケート質問紙調査を行った。その結果、不用になった衣服は一般的なごみとして処分する学生が全体の約6割であり、有効利用する学生より多いことがわかった。また、全体の7割の学生がペットボトル再生繊維2衣服を知っているものの、着用経験者は1割程度で、着用経験の無い者今後の着用意向も消極的である。なお、古着の購入や衣料品の処分は環境活動として捉えられているわけでもなく、学生には古着の購入はファッションの一環として行われていることを明らかにした。

キーワード:古着;衣料品リサイクル;古着屋;3R;フアッション

一 はじめに

1 研究背景

 海外生産による低価格化とファストファッション3の流行に伴い、消費者が衣服の買うこと、捨てることに対する抵抗が少くなった。また、企業側も消費者の購買欲を刺激するために新商品を次々発売していく。その結果、クロゼットの中には流行遅れの不用な服が溢れてしまい、家庭からゴミとして出される衣料品は年々増加しているのである。

 古くなった服が次々と捨てられる一方で、新しい服も生産されている。主に服は綿花繊維とポリメールから作られるが、近年では服の大量生産による綿花の不足が指摘されている。ICAC(国際綿花諮問委員会)によると、15~16綿花年度の世界の綿花生産量は2148万トンで消費は2418万トン。16~17綿花年度は、作付面積が昨年並みも面積あたりの収穫量が向上し生産量が2300万トンまで回復したものの、消費量は2452万トンと引き続き消費量を生産量が上回る状況が続いていた。ヨーロッパでは年間1人当たり平均20キログラム、アメリカでは35キログラムの綿花繊維が消費されているという。さらに、ポリメールの原料である石油もまた無限の資源ではない。人々が古くなった服や壊れてしまった服をすぐに捨てるのではなく、修復して使い続ければどうなるであろう。ゴミが減ることはもちろんのこと、限りある資源を大切に使うことで、地球に優しい消費ができるのだ。ごみ問題や資源の枯渇などがますます深刻になる現状で、企業側にも消費者にもごみの捨てる方への責任が求められている。

2 先行研究

衣服の有効利用の要因を検討した研究としては、近藤らは、紳士ワイシャツの有効利用の有無について、生活環境要因8項目と生活情報要因8項目とが何らかの関連を持っていることと、家庭内有効利用と家庭外有効利用を促進する要因が異なることを明らかにしている。

 衣服リサイクルや古着に対する意識について、山田らは、不用衣服を廃棄する理由について有効利用の具体的な方法が不明であることや、古着の入手・所持を制限する要因として、潔癖性の有無と関連があることを報告している。また、市川らは大学生の古着に対するイメージは、男性の古着着用者が「一番抵抗がなく、親しみやすく、好きで着たい」というプラスのイメージを持っているのに対し、女性の非着用者が「一番抵抗があり、親しみにくく、嫌いで着たくない」というマイナスイメージを持っていることを報告している。

3 研究目的

 

 近年、多くの分野で3R活動の推進が行われており、衣料分野においてもリサイクル活動が行われている。しかしながら現在、衣料品のリユース活動にあたるのは古着の回収と販売であるが、実際に衣料品の購買活動を行う主な主体である大学生の古着に対する意識の調査がほとんど見当たらない。また、3Rを促進する制度はほとんどなく、その3R促進に向けた研究もあまり行われていない状況である。

 衣料品リサイクルにあたる今の日本の大学生における男女別で、古着に対する意識や購入状況を明らかにし、その利用促進の可能性について若干の比較・検討を行う。また、衣服の処分方法と一般に環境への意識と3R活動の実践との間には関連があるかどうかを明らかにする。すなわち、大学生を対象にアンケート調査を実施し、衣服のリサイクルと環境への意識について、その実態を明らかにすることと、今後の衣料分野におけるリサイクル活動の取り組みについて提言することと3R活動を促進することを目的とする。

二 調査方法及び内容

  1. 調査方法

 調査は、京都学園大学に在学中の学生を対象として実施し、アンケート調査を行った。配布票は109票で、有効票は100票。有効回収率は91.74%で、男性43名、女性57名。年齢構成は18歳から24歳で、平均年齢は19.98歳であった。

 調査は2017年12月11日〜2017年12月15日に行った。

2 調査内容 

 調査は、3つの部分から構成である。第一部分は古着に関する問題である。古着屋に古着の購入経験の有無について尋ねることを始めとして展開し、古着購入者と未購入者における古着への印象の違いを尋ねている·。第二部分は不用になった衣服の処分について尋ねることである。処分方法は「廃棄・販売・加工」の三つのカテゴリからその実態を明らかにする。第三部分は環境に関する問題である。「衣料に限らず、3R活動に興味や関心があるか」などを尋ねている。また、ペットボトル再生繊維衣服についての着用経験、今後の着用意向及びイメージにっいて尋ねた。(付録調査に用いたアンケート用紙)

 なお、ここでの古着の定義をはっきりさせておく必要があるだろう。大辞泉では「着て古くなった衣服」、また日本語大辞典では「着古した衣服」となっている。そして日本国語大辞典では「かつて身につけていた着物、着古した衣服、ふるごろも、ふるぎぬ」とある。ここでは日本国語大辞典の「かつて身につけていた着物」、すなわち、一度でもだれかが着たことのある衣服を古着として扱う。また、古着の購入者について調査するため、購入者のいないような古着、つまり着古して古着として販売できなくなった状態のようなものは範疇から除外する。不用衣服を修繕して着用したり、古着を入手し着用する行動は、リデュース・リユース・リサイクルに分類することができるが、本研究では、先行研究を参考に、リサイクルと総称して呼ぶこととした。

三 調査の結果および考察

1 回答者の古着の購買および衣料品の処分

1.1 古着の購入の実態

 調査対象の100名の内、古着を購入経験のある回答者は52名(52%)、購入経験ない回答者は48名(48%)であった。その内、購入経験ある回答者の中では男性は26名(54%)、女性は22名(46%)であった。

 古着購入理由を選択形式(複数回答可)でもらった結果を図1にしめした。図1より、「個性的だから」という理由がもっとも多かった。

図1 古着の購入理由

1.2 不用な衣服の処分概況

 衣料品の処分方法について、廃棄・販売・加工の三つのカテゴリに分け、各カテゴリでどのような方法をもっともよく行うか尋ねた。廃棄においては、普通ごみとして処分している回答者が62名(男性40名、女性22名)、資源ごみとして処分している回答者が30名(男性3名、女性27名)、残った8人(全部女性である)が他の人に譲るであった。販売においては、回答者の35%が何らかの販売経験があり、古着屋での販売が28%、フリーマーケットでの販売が17%となっていた。加工においては、回答者の15%が古着に何らかの加工をした経験があり、リメイクが53%、雑巾へ加工が20%となっていた。

2 上記の購買・処分行動の動機分析

 

 調査では、「衣料に限らず、3R活動に興味や関心があるか」を尋ねていた。3R活動に興味や関心がある回答者と興味や関心がない回答者で、古着の購入、衣料品の処分方法、その他3R活動へ差がみられるかを調べることにより、環境への意識と古着の購入および衣料品の処分行動との関連について検討を行った。結果を図2に示す。古着の購買、廃棄、販売のいずれの行動においても、環境への興味や関心との間に関連がみられなかった。しかしながら、「過剰包装の断り」、「缶やトレーのリサイクル」の項目は環境への意識が高い回答者ほど多く実践しているという結果が得られた。「エコバックの使用」、「ごみの減量活動」に関しても差がみられる傾向が認められた。これらの結果をあわせて考えると、一般に環境への意識と3R活動の実践との間には関連が認められるが、衣料品に関して言えば、消費者は衣料品の資源循環を環境活動だとは意識していないのが現状であるといえる。

図2 環境への意識と衣料品の購買・処分行動および各種3R活動との関連

3 不用な衣服の利用実態

 衣服総数に占める古着の割合を尋ねた。先行研究を参考に、所持率0%を「古着無所持群」、それ以外を「古着所持群」、さらに「古着所持群」のなかでも、古着の所持率が1%〜10%を「古着少所持群」、11%以上を「古着多所持群」として、比較・検討をおこなった。その結果古着の所持率は全体的には低かったが、衣服総数のうち1%以上の古着を所持している人は7割に満たないことがわかった。

 先行研究では、全体の約8割の人が衣服総数のうち1%以上の古着を所持していたが、本研究では、衣服総数のうち1%以上の古着を所持している人は、全体の7割弱であった。女性の方が男性よりも、古着の所持率が高かったことは同様の結果となった。

 また全体の52%であった古着所持者を対象として、買った古着ともらった古着との所持数を尋ね た。選択肢の「すべて買った古着」、「ほとんど買った古着でもらった古着はあまりない」、「買った古着の方が多いがもらった古着も多い」の3項目を合わせて「買った古着群」とし、「すべてもらった古着」、「ほとんどももらった古着で買った古着はあまりない」、「もらった古着の方が多いが買った古着も多い」の3項目を合わせて「もらった古着群」として比較・検討をおこなった。その結果、全体としては、「すべて買った古着」(25%)が最も多かった。男性では「ほとんど買った古着でもらった古着はあまりない」が最も多く、35%であった。女性では「ほとんどももらった古着で買った古着はあまりない」が最も多く、29%であった。男性では買った古着が、女性ではもらった古着が多かった。

剩余内容已隐藏,请支付后下载全文,论文总字数:11598字

您需要先支付 80元 才能查看全部内容!立即支付

该课题毕业论文、开题报告、外文翻译、程序设计、图纸设计等资料可联系客服协助查找;