戦後日本の社会派推理小説から見る反戦意識の発展

 2022-01-19 11:01

目         次

一 はじめに 1

二 松本清張の『砂の器』における反戦意識の芽生え 3

三 森村誠一の『新・人間の証明』における反戦意識の発展 6

四 宮部みゆきの『蒲生邸事件』における反戦意識の新特徴 9

五 終わりに 12

致 谢 15

戦後日本の社会派推理小説から見る反戦意識の発展

舒璐垚 20141322039

要旨:社会派推理小説は日本ならではの推理小説であり、普通の推理小説よりも社会的な事件を題材にして殺人動機を重視する。社会派推理小説は当時の社会に対して批判し、人間性を暴露する。本稿は第二次世界大戦後に発生する社会派推理小説と戦後高揚の反戦意識を結びつける。時間順に松本清張の『砂の器』と森村誠一の『新・人間の証明』と宮部みゆきの『蒲生邸事件』を対象にして戦後日本社会派推理小説における反戦意識の表現を検討する。それに、本稿も異なる時期の社会派推理小説における反戦意識の異なる表現と社会派推理小説の中にメタファーに対して検討する。

キーワード:社会派推理;反战;松本清张;森村诚一;宫部美雪

一 はじめに

第二次世界大戦後に発生した社会派推理小説は私が最初に日本文学に触れたものである。社会派推理小説の作家らは普通の推理小説に基づいて、プロットを広い社会的背景に置いて展開する。小説家たちは社会派推理小説の中に色々な社会的問題を検討している。それゆえに、社会派推理小説は普通の推理小説より更に人間性を重視している。私は小説を読む際に反戦意識が多くの推理小説のテーマであることを発見した。それに、時間の流れに従って反戦意識の表現もかわっている。私は社会派推理小説における反戦意識に引き付けられる。したがって、私は社会派推理小説における反戦意識の発展と変化の軌跡を分析し、より深い意味を検討するために、三つの異なる時期の社会派推理小説の作家の代表作を例として論文の執筆を始める。

私は資料を探す際に、反戦意識と社会派推理小説を結びつける先行研究が少ないと発見した。しかし、特定の作家に対して彼の社会派推理小説の社会意義を分析する先行研究がたくさんある。これらの研究では反戦意識が多少に言及される。

中国の評論界では、日本社会派推理小説における反戦意識についての研究がたくさんある。例えば中国のある学者――秦刚は松本清張の小説における反戦意識に非常に重視している。秦刚が書いた論文「松本清張の『砂の器』と戦後日本社会」の中には、作家は作中の犯罪行為を通して戦後日本経済の表面における繁栄に潜む偽善に対して批判している。松本清張は戦後日本社会に対する鋭くて深い観察に基づいて、『砂の器』により、歴史を書き換える修正主義に批判している。」とある。それ以外に、靳明全も森村誠一の小説における反戦意識にユニークで深い見解を表している。靳明全は「森村誠一小説における人間性の表現論」という論文に、「森村誠一の作品は人間性の表現を重視する。森村誠一の小説は人間性の表現と社会問題を結びつけて、人間性の表現を通じて社会問題を暴露する。それ以外に、森村誠一小説における人間性の表現は非常にユニークである。」と書いていた。

日本の評論界では社会派推理小説における反戦意識にあまり関心を持っていない。社会派推理小説における反戦意識を研究する論文はほどんどんない。日本の評論者は社会派推理小説に対して小角度から研究している。例えば、日本のある学生――寺山千紗都の論文「『砂の器』の功罪」で、『砂の器』で言及されるハンセン病を対象としてこの小説がハンセン病の治療及びレプラ患者にもたらす影響を分析する。

本論文は序論と結論を除き、三つの部分に分けられている。この三つの部分は反戦意識の発展時間順で松本清張の『砂の器』と森村誠一の『新・人間の証明』と宮部みゆきの『蒲生邸事件』における反戦意識を分析する。まず作品における反戦意識の特徴を概括する。次、時代の背景と作家の経験を結びつけて、反戦意識の生まれる要因を分析してみる。最後、自分の理解をもとづいて、この小説における反戦意識の意味を検討する。

二 松本清張の『砂の器』における反戦意識の芽生え

日本推理小説の大家として、松本清張は新しい推理小説の流派――「社会派」を切り開いている。「社会派」の先駆者として松本清張ははじめに反戦意識を社会派推理小説の主題にしている。言い換えれば、反戦意識は松本清張の小説に芽生えた。では、松本清張の社会派推理小説における芽生えた反戦意識はどんな特徴を呈するか、どのような原因で松本清張の小説における芽生えた反戦意識がこの特徴を呈するか。この二つの問題を解決するために、私は『砂の器』を例として、松本清張小説における反戦意識を分析する。

1 間接的に戦争への批判の反戦意識

最初の社会派推理小説なので、松本清張の小説における反戦意識は直接に戦争へ批判するわけではなく、間接的に批判している。

『砂の器』の冒頭に見分けられない死体は東京蒲田駅で発見された。被害者が殺された前にバーで容疑者と話していた時の東北なまりは事件解決の唯一の手がかりである。今西栄太郎刑事は全力で証拠を探した末にようやく事件を解決した。犯人は被害者の養子本浦秀夫である。当年、本浦秀夫はハンセン病になった父と生存するために一緒に流浪していた。昭和十八年、三木謙一刑事はこの親子を収容している。三木謙一刑事は父を保養院に送って、本浦秀夫を養子にした。昭和四十六年、三木謙一は長年家を出た養子を二十八年ぶりに再会したがる。しかし、本浦秀夫は自分の暗く過去を他人に発見されることを恐れるので、自分の養父を殺してしまった。

ここで、松本清張は新しい推理小説の殺人動機を切り開く。これは自分の暗く過去を隠すために人を殺すことである。戦争の時代に日本社会の秩序が破壊された。人々は生きるために違法なことをせざるを得ない。ようやく幸せな日が得る。しかし、過去の歴史が雲のように人々を覆う。幸せな日を守るために、人は殺人を選ばざるを得ない。松本清張は反戦意識をこの殺人動機に書き入れている。暗く過去は戦争の苦しみのようである。この殺人動機は間接的に当時の日本社会が過去の歴史を直視することができないと暗示している。反戦意識の中に最も基本的な部分は戦争を直視するものである。松本清張はこの殺人動機の描写により、間接的に自分の反戦意識を反映して、当時の社会を批判している。

松本清張の『砂の器』の中にハンセン病も重要な役はである。ハンセン病は昔から不潔なシンボルであった。ハンセン病患者もよく様々な偏見を受けていた。『砂の器』の中に本浦秀夫にとって、ハンセン病になった父が人に知られたがらない過去である。『砂の器』の中に、松本清張はハンセン病に詳しく描写しなかった。『砂の器』におけるハンセン病は日本人が言及されたがらない戦争の歴史を象徴している。松本清張は日本人が言及されたがらない戦争の歴史をハンセン病に例え、当時日本社会のエリートに彼らの成功が歴史への忘却に基づくものであると間接的に言っていると思われる。松本清張はハンセン病を通じて、当時の日本人に歴史を直視しないと、戦争の影から出ることができないと伝えていると思われる。ハンセン病は『砂の器』の中にメタファーとして、松本清張の小説における間接的な反戦意識の表現一つである。

最後、『砂の器』に設定する背景も松本清張の小説における間接的な反戦意識のもう一つの反映である。『砂の器』の背景が一見に戦争とは関係なく、実は戦争と密接な関係がある。例えば、戦争の時、大阪の浪速は空襲に遭った。戸籍所の戸籍原本と戸籍謄本は全部火に焼かれた。本浦秀夫は火に焼かれた戸籍原本のおかけで、名前を変え、和賀英良として生活していた。松本清張は『砂の器』の背景により戦争は不幸の源であると伝えていると思われる。

松本清張は『砂の器』の中に新しい殺人動機とメタファーと小説に設定した背景を通じて、間接的な反戦意識を表す。松本清張はこのような間接的な方法で自分の反戦意識を伝え、戦争を批判する。

2 間接的という特徴の生まれる要因

松本清張は「社会派」の先駆者として、反戦意識を社会派推理小説のテーマにする第一人である。。松本清張の小説における反戦意識の最も重要な特徴は間接ということである。この間接的な反戦意識の生まれる要因には内因と外因がある。

内因から言えば、松本清張の個人経験は間接という特徴に大きな影響を与える。松本清張は子供から貧しく、生活のために幼いごろ退学し、アルバイトしていた。第二次世界大戦に、松本清張は徴兵に応じて、入営した。彼は衛生兵として、朝鮮に行ってきた。朝鮮にいた際に、松本清張は戦争の残酷さを目に当たって、戦争で人民の苦しみを体験した。この経験は松本清張の小説における間接的な反戦意識に影響を与える。しかし、松本清張は社会派推理小説の大家としても、新しい創造分野に対して慎重に模索しなければならない。したがって、松本清張は間接的な方法で自分の反戦意識を表す。どんな作品でも世相を反映する。内因を取り捨てて当時の社会背景も松本清張の小説における間接的な反戦意識に影響を与える。

『砂の器』は第二次世界大戦が終わった二十年後で書いた作品である。第二次世界大戦で日本は敗戦国として、1945年8月25日に「ポツダム宣言」を受け、投降した。第二次世界大戦で日本は侵略国として周りの国に大きな傷を与えた。しかし、同時に戦争も日本と日本人に大きな傷を与えた。戦後六十年代、日本の経済は高度成長していた。朝鮮戦争の特需注文は日本に莫大な外貨収入を与えた。そして、経済企画庁は「経済自立五年計画」の制定と「神武景気」の到来なので、『もはや「戦後」ではない』が副題として、「経済白書」を発表した。実は日本人はまだ敗戦の影に生活していた。戦争は人々に与える傷がまだ癒えさえなかった。当時の人々は戦争に依然として抵抗があった。特に戦争で身内を失った人と原爆を受けた人に対して、戦争は彼らに消えない傷を与えた。したがって、まだ苦しんでいる人々の気持ちを考え、松本清張は『砂の器』における反戦意識が戦争を直接描かない。その代わりに、間接的な方法で反戦意識を表している。それにより、反戦と平和を提唱すると同時に戦争で不幸になった人に再び傷を与えることを避ける。

松本清張小説における間接的な反戦意識は反戦と平和の観点を伝えるのみならず、人間性に対する高度の思いやりも表している。それに、この間接的な反戦意識の中に人間性に対する高度の思いやりが松本清張の小説の最も貴重なことである。

優れた創作の手本のみならず、推理小説の謎を創作すると同時に人間性に対する批判を忘れないことは松本清張が「社会派推理小説の父」と呼ばれる要因である。

三 森村誠一の『新・人間の証明』における反戦意識の発展

森村誠一は松本清張の社会派推理小説を継ぎ、「新社会派」を切り開いている。反戦意識は松本清張の小説に芽生えた後、森村誠一の小説に発展した。森村誠一の小説における反戦意識はどんな新しい発展があるか。この反戦意識はどのような原因でこの新しい発展をとげるか。この二つの問題をめぐって私は「新人間の証明」に立脚し、森村誠一の小説における反戦意識を分析する。

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