目　　　　　　　　　次

一　はじめに 1

二　『キッチン』に現れる吉本ばななの文学特徴 3

三　終わりに 7

致 谢 11

『キッチン』に見る「ばなな現象」

代云　　20131322007

要旨：吉本ばななは現代を代表する日本作家の一人である。作品『キッチン』は吉本ばななのデビュー作であり、その作品で第六回海燕新人文学賞を受賞する。「ばなな現象」というのは、『キッチン』が発表された後、日本でばななブームを捲っていることである。文学界はそれを「ばなな現象」と称する。「ばなな現象」の出現は吉本ばななの特別な文学風格と相関している。吉本ばななは伝統の文学創作を打ち破って、大衆文学に基づいて自分の文学風格を作り出す。本文は小説『キッチン』に現れる吉本ばなな文学の特徴――通俗化、孤独感、独立な女性イメージ、心の癒やしを分析して、「ばなな現象」の出現原因を論述する。

キーワード：「ばなな現象」；通俗化；孤独感；独立な女性イメージ；心の癒し

一　はじめに

1　吉本ばななと『キッチン』

「ばなな現象」の出現は『キッチン』の発表と密接な関係があると言える。1987年、24歳の吉本ばななは処女作の『キッチン』によって、海燕新人文学賞を受賞する。『キッチン』は多国語に翻訳されて、アジア、ユーロッパ、アメリカの国で出版される。販売量は二年間だけ129万冊に達する。1989年、吉本の六冊の作品は全部当年の日本小説発行ランキングの二十名以内を占める。その現象は『毎日新聞』に「ばなな現象」を称えられて報道される。それは日本では前代未聞のことである。吉本ばななという作家は「ばななブーム」をつくって日本の大衆に知られるようになっている。

吉本ばななは本名吉本真秀子である。どうしてこの筆名を取り付けるか、と聞かれる時、「ただバナナの花が好きだから。」と吉本はこんな簡単に答える。その他に、吉本の作品の中で、多数の主人公はバナナに好感を抱く。「この不思議な名前のお陰で、吉本ばななは日本で瞬時に大衆に知らせる。」¹と評価する日本の学者もいる。確かに、人間の慣れる果物をもって筆名とするのは、読者との距離を引きつけて、大衆の好奇心を引き出すかもしれない。ただし、ただその点によって、吉本ばななはこんなに人気がある原因を説明するにはちょっど足りないと思う。主な原因は吉本ばななの文学風格は大衆に認可されることである。「現代文学はこの作品で決定的な変化を起こる」²小説『キッチン』に対してそのような評論がある。時代に一つの区切りをつける作品であると評価する人もいる。大衆文学の発展に応じて、吉本ばななは文学創作の面で内容、形式から現有の小説概念を打ち破って、自分なりの文学風格を創作する。吉本ばななの小説は言語が簡単で、超現代主義、社会性の孤独感というような現代的な元素を含んで、主題が現実に近づいている。吉本ばななは人物の内心と独立な女性イメージを描くことが上手であり。読者にとって、吉本ばななの作品を読んでいて、心が癒される感じがある。こんな文学風格は大衆に好まれるからこそ、「ばなな現象」までと呼ばれるようになった。即ち、「ばなな現象」を見るのは、吉本ばななの独特な文学風格を読み取ることである。

2　先行研究と研究方法

吉本ばななの作品は小説というよりストーリーである。木股知史は『イエローページ吉本ばなな』の中で吉本ばななの作品に対してこのように評価する。その他、何乃英は『吉本ばなな現象論』で「ばなな現象」の成因は吉本ばななの作品の独特性で、人物の感情の描写が繊細であるのを論述する。木股知史と何乃英も吉本ばななの文学特徴を論述した。しかし、具体的ではなくて全面的ではない。本文は文献法、例示法、演繹法をもって、『キッチン』に基づいて「ばなな現象」の主な成因――吉本ばななの文学特徴を詳しく論じる。その以上に、吉本ばななの作品の魅力を探してみる。

二　『キッチン』に現れる吉本ばななの文学特徴

日本近代文学に築かれてきた小説というジャンルの形式を、吉本ばななの作品はそこから逸脱している。吉本ばななの作品は年齢を問わず、国を問わず、広い範囲で大きな人気を博している。それでは、　　　吉本ばななの文学特徴は一体何であるか。これから、『キッチン』に現れる吉本ばななの文学特徴に対して、詳しく分析を展開していく。

1　通俗化

吉本ばななの文学観と伝統的な文学観は大きな差がある。「実際に、吉本ばななは当代日本の文学の新たな傾向を代表する。」³吉本ばななの小説概念は分かりやすい、受けられやすい作品を創作することである。経済のグローバル化の時代背景に、文学創作は世界を向く軌道を歩かないわけにはいかない。吉本ばななはその文学のグローバル化に「時代の問題」を称える。すなわち、これは時代の産物である。「吉本ばななは日本の民族性を超えて人間の共通点を探す。」⁴人間として、必ず共通のところがあると吉本ばななはこんなに思っている。このような認識とあって、日本だけでなく、欧米各国で共鳴を引き起こしている。その他に、吉本の作品は女性の一人称口振りで自分の物語を述べる。文字は簡潔で、口語化である。小説の中は大量の人物会話、独白を含む。それは読者に主人公の心理と心理変化を確実に捕捉させて、小説のシーンが上がり込むことに助ける。吉本は執筆中に目下流行の単語、外来語をうまく使いこなす。それも吉本ばななは若者中に人気がある原因の一つである。

私がこの世でいちばん好きな場所は台所だと思う。⁵

それは小説『キッチン』の文頭である。一つの句は段になる。直接に主題を指摘する。一人称をつかって、「思う」をもって文末にする。そんな日常化の文風は伝統な文学創造と著しい差異はあるが、 読者との距離感を減少することはできる。

「寝るな。」雄一が言った。

「寝てない。」私は言った。「引っ越しハガキ書くのは、本当はすごく好きなの。」

「あっ、ぼくも。」雄一が言った。

「転居とか、旅行先からのハガキとか、すごく好き。」⁶

小説の中で、そんな大きい紙幅の会話はまた多い。現実の生活中の会話シーンを還元する。窓辺で、かすかな明かりに浮かぶ植物たちが十階からの豪華な夜景にふちどられてそっと息づいていた。夜景―もう、雨が上がって湿気を含んだ透明な大気にきらきら輝いて、それはみごとに映っていた。^７読者は読む時に真実感を持って、共鳴を生み出す。読みやすくなっている。

祖母が死んで、この家の時間も死んだ。私はリアルにそう感じた。もう、私にはなにもできない。⁸これは主人公の桜井みかげの心理独白である。依然この世にいるにも、毎日毎日闇に取り囲まれている。

部屋のすみに息づき、押してくるそのぞっとするような静けさ、埋められない空間があることを、子供と年寄りがどんなに陽気に暮らしていても、私は誰にも教えられなくてもずいぶん早くに感じ取った。^９それは唯一の肉親を失った後、自分の困り、無力感をはっきり表してしまう。

なにが悲しいのでもなく、私はいろんなことにただ涙したかった気がした。私はどうしようもなく暗く、そして明るい気持ちになってしまって、頭を抱えて少し笑った。¹⁰全文は「痛い」のような文字一回も出現しない。しかし、深い意味を含む文字をもって、言葉で表せない情感を吐き出す。それこそ吉本ばななの作品が人の心を引くところである。

2　孤独感

吉本ばななの大多数の作品は死亡元素を含む。死亡と通じるのは無窮の孤独である。今、社会の発展に伴い、孤独はもう都市生活の「特色」になってしまう。そこで、孤独感も読者が共鳴を引き起こす接点になっている。吉本ばななはかつてこのように言った。「『キッチン』はまったく淋しいです。主人公はいつもマグロのような元気もなくて、ふさぎこみます。」¹¹桜井みかげは死亡に纏付かれて、孤独感にひしひし囲まれる人である。

私、桜井みかげの両親は、そろって若死にしている。中学校へ上がる時、祖父が死んだ。先日、なんと祖母が死んでしまった。¹²そんな軽い口振りで主人公が全部の肉親を失う背景を紹介する。泣いたりすねたりしずに、別人のことを語るように平静に叙述する。吉本ばななの作品の中で、死亡は重たいものではないが、逆に日常のことである。生まれ育った部屋で、こんなにちゃんと時間が過ぎて、私だけいるなんて、驚きだ。¹³ 小説『キッチン』は桜井みかげの現実感受で、肉親を失う悲痛を表現する。涙があんまり出ない飽和した悲しみにともなう、柔らかな眠けをそっとひきずっていって、しんと光る台所にふとんを敷いた。¹⁴

こんな文字を読んで、思わずに桜井みかげの孤独の世界に進入した。孤独感という感情は誰でも持っているものである。吉本ばななは孤独に頼って読者との心霊上の橋を建つ。読者にとって、ある本に興味を持つ原因は、作品の内容は思想の共鳴を引き起こすことができるかどうかというものである。吉本ばななはその点を捉えている。

3　独立の女性イメージ

吉本ばななは女性の作家として、書いた小説の中で、多数の主人公は独立で、自由を憧れる女性である。それは吉本ばななの大部分の読者が女性である原因の一つである。小説『キッチン』の中で、心理の方面で、桜井みかげは肉親をすべて失った後、自分が閉鎖世界に耽けて打ち沈んでいる。そして、台所だけで眠るようになっている。漸次に桜井みかげは調理が好きになっていて自信を持って、生活も緒に就くようになる。物質生活の方面で、桜井みかげは田辺家族に引き取られて、田辺家族と一緒に生活している。田辺雄一も、田辺えりこも彼女を好くにせよ、桜井みかげは、いずれにしても、田辺の家を搬出すると強調している。

自分がどのぐらい強いのか、今すぐひとり暮らしに戻れるのか、見当もつかなかった。それにしても、やはり、近々、本当に近々、引っ越しハガキを書きながら矛盾しているとは思うが……。¹⁵

何度も苦しみ何度でもカムバックする。負けはしない。力は抜かない。¹⁶

そのとおりである。桜井みかげはかつて悲痛に耽ることとて、雄一、えりこと一緒にの生活中に未来の目標を立てる。田辺家族との生活は気楽で、楽しいのである。しかし、桜井みかげはずっと田辺家族に依頼するつもりはない。いつも引っ越しに準備している。最後、桜井みかげは田辺の家から搬出した。これから、いろんなことがあって、何度も底まで沈み込んでも、桜井みかげは絶対に諦めない。桜井みかげが生活に態度の変化と繊細な心理描写からみかげの独立、たくましい精神力を見える。

桜井みかげが現実の悲しみを乗り越え、強くいきていこうと思えたのは、もちろん雄一だけでなく、その母親であるえりこのおかげでもある。えりこは小説『キッチン』の中で最も特別な人物である。雄一の母親として、実は田辺雄司という名前の男の子であるえりこは、妻が病没した後、まだ小さな雄一を抱えて何をしようかと考えた。最後、仕事をやめて、女になることに決めてしまった。それから、女性として雄一を育ちながら、風俗店を営んでいる。

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